入りづらい……なら取っちゃう?
イイトコの店名は「子育てカフェeatoco」といいます。
この、店名に「子育て」と入っているせいか、男性ひとりでは入りづらいという声が、数は多くはありませんが届いています。
男性にはあまり縁がない可愛いらしいものが並んでいるので、入りづらいというのもあるのかもしれませんが。
そこは、あんまり「かわいいかわいい」「キラキラ」しないように気を使ってはいるのですがね。
自分自身も、そういうのは好きじゃないし。
ともかく、そんな声があって、パートナーから「『子育て』って名前を取っちゃって、ただの『イイトコ』にすれば?」と言われたのです。
そう言われたとき、咄嗟に、「いや、そうじゃない」と拒む自分がおりまして。
そこで今回は、
店名から「子育てカフェ」は取らない。
と思いを新たにした心の動きなんかを綴りますね。
「子育てカフェ」という名前に込めたもの
まずは、そもそもイイトコが「子育てカフェ」という名前に込めた思いを3つのテーマにまとめてご紹介します。
①親子カフェではない
イイトコに「子育てカフェ」と付けたのは、「親子カフェ」と区別をつけたかったから、ということもあります。
「親子カフェ」というと、対象とするお客様は親と子、とくにお母さんと小さなお子さんという場合が多いのでは。
その点、イイトコは違います。
実際にお店に来てもらえるとわかりますが、お子さんを伴わない大人の方も、高齢の人も、若い人も、男性も女性も、それぞれ思い思いのときを過ごしていただいています。
ベビーベッドやキッズスペース、物々交換はあるけれど、普通の喫茶店です。
②多様性を大事にする
イイトコは、多様性のある場、自分とは違う異質なものとも普通に出合うことのできる場をつくりたいと常に思っています。
異質なものというのは、何もそんなに特別なものとは限りません。
たとえば、子どものいる・いないもそうですし、子育てが終わった人も、子育て真っ只中の人も、いずれ親になるかもしれない人も、若者も。
ともすれば出合う機会が少なくて、お互いのことを知りにくい世の中ではなくて、どんな人にも、子育てがもっと身近にあっていい。
それがきっと、親御さんやお子さんの育ちにとって大切なことだと思います。
だからこその、「子育てカフェ」なのです。
③子育て中の人にやさしくありたい
私がイイトコを作ろうと思ったきっかけは、もう10年以上も前のことになりますが、小さい子を抱えた自分が入れるお店が少なかったからです。
とくに私は小心者なせいか、長時間のバスや電車で子どもがぐずったりしないか、それはそれは気が気ではなくて。
徒歩か自転車で行ける距離に、子どもOKの、ほっとできる場が欲しかったのです。
子連れの自分を受け入れてくれる場の乏しさ。
子連れの移動の肩身の狭さ。
いま考えても涙の出そうなそのときの自分の心細さを、次の人には感じてほしくない。
それが一番大きいかなぁ……
だから、いま子育て真っ最中の人に、「こんな場があるんだよ、あなたのための場所だよ」と届けたいんです。
そのための「子育てカフェ」なんですね、やっぱり。
「自分ごと」だと人は強い
場を作る人の間でよく聞かれる話に、「みんなの居場所には誰も来ない」というのがあります。
場をつくるほうは、「老若男女どなたにも来てほしい」と思っていても、そういう場に人は行きづらいのだそうです。
これを私なりに解釈すると、「ここは誰のための場?」と考えたときに、誰かに「まるで私のためにあるような場だ」と思ってもらえるかどうか、なのかなと。
その点、どこかの誰かのためでなく、他ならぬ自分が欲しかった場を作っているイイトコに、私は小さな自信を持っています。
自信というと偉そうに聞こえるかもしれませんが、「自分ごとをやっている」「自分の問題に向き合っている」という確信のようなものです。
自分ごとだから、自分が当事者だから、自分が欲しかった場だから。
場を運営していくのに、当事者性はとても大事だと思います。
発信しつづけていく
と、ここまで随分と「『子育て』推し」で来ましたが、もちろん、店名から「子育て」を取ることで起こるポジティブな変化もあるとは思います。
たとえば、現在は子育てしていない男性も入りやすい。
イイトコはもともと「地域のどなたにも利用してもらいたい」と考えているお店なのだから、名前から「子育て」を取ればその思いが届きやすい。
子どももOKなカフェってことは、中に入ってもらえればわかることだから……。
ただ、ここまで書いてきたことを考えると、ここはやはり、「子育てカフェ」のままでいきたい。
今ではもう、「子育てカフェ」でなくてはありえない!ところまで思い詰めていますよ、わたし(これはこれでガンコかな(汗))。
こうなるともう、「こういう思いで子育てカフェと名乗ってます〜」と、発信し続けていくしかないのかもしれません。
そして、子育て中の人も、そうでない人も、男の人も女の人も、いろんな人に使ってもらって、その人なりに感じてもらうことなのでしょう。
なのであなたも、どうぞ気軽に引き戸を開けて、イイトコを体感しに来てください。
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