いま、足立区NPO活動支援センターで開催している「ものくる」や、2週間後に控えている「こども服xChange」。
子育てカフェeatocoは、カフェ作りのほかに、イイトコマルシェと並んで「物々交換」をよくイベントとして開催しています。
物々交換って、お金を払わなくても、大人でもこどもでも、交換するモノさえ持っていけば、誰でも参加できるんです。
この「誰でも参加できる」ということを私たちは大事にしていて、そこが、イイトコへの「入り口」だったりします。
その先には有料エリアとなる「マルシェ」や「おやこ食堂」、さらには「子育てカフェ」が広がっているけれど、物々交換は無料エリア。非常にハードルが低い。
誰でも、気軽に、イイトコの活動に参加してもらえて、その先のイイトコの価値観や理念を知ってもらうきっかけになっていると思っています。
そして、実際にモノとモノの交換の場に参加してみると、そのおもしろさに目覚める人もたくさんいます。
エコだったり、
モノを選ぶ楽しさだったり、
モノを介して生まれる見知らぬ人との会話だったり。
人によって「物々交換っていいなあ」と感じるポイントもさまざま。
また、マルシェやカフェのようにお金を払って一方的にサービスを受けるのではなく、無料で、能動的に参加できるのが物々交換です。
お客さまと私たち、ではなく、参加する人みんなで作っている感じ。
そんなところも物々交換のおもしろさなのではないでしょうか。
ところで、なぜイイトコは物々交換を続けているのか。
上で書いたような純粋な面白さや、物々交換がイイトコの活動を知ってもらうきっかけにちょうどいい、というのは活動するなかで気づいたことであって、いわば「後付け」の理由。
そもそもの理由は、「隣近所の人と気軽に貸し借りできる関係を作りたかったから」なんです。
お醤油が切れちゃったから、ちょっとお隣に借りに行く。
お米が底をついちゃったから、一食分のお米だけもらいに行く。
そういうことを、普通にできたらなんて素敵なんだろう!と思ったわけです。
食べ物だけではありません。
ビニールプールを膨らますのに使う空気入れ。一年のうち出番があるのは数回でしょう。それを、わざわざ家庭ごとに持っておく必要があるのでしょうか。
必要なときに、誰か持っている人から借りれば済むのではないのでしょうか。数家庭で共有したっていい。
頼り、頼られる関係。
それを、まずはモノの貸し借りから。
そんなことを考えているわけです。
物々交換や服の交換会をしていると、たまに「お下がりもむやみにあげられなくなって」という声を聞きます。
まだまだ着られるし、子供服なんて何枚あっても邪魔にならないと思うので、渡すほうは気軽に「着ない?」って言うんですが、それを「バカにされているみたい」と捉える人もいるそうです。「新品も買えないと思っているの?」と。
そんな話を耳にすると、私は寂しい気持ちになります。
お下がりを拒否された側の気持ちもですが、お下がりを拒否した側の気持ちを考えると......。
これは考えすぎかもしれませんが、もしかしたらその人は「服くらいは新品を着させてあげなきゃ」と力んでいるのかもしれない、
「見下されちゃいけない」と神経を使っているのかもしれない。
お下がりという、些細なことかもしれませんが、もしかしたら子育てそのものを一人で抱え込んでいるのかもなあ、なんて、飛躍しすぎかもしれませんが、心配になってしまうのです。
だから、物々交換には、
「モノはシェアしていいんだよ、なんでも自分ひとりで揃えることはないんだから」
「子育てだってシェアしていいんだよ、人に頼っていいんだよ」
というメッセージを込めているつもりです。
それこそが、「子育ては地域全体でするもの」というイイトコのミッションを実現するひとつの大事な活動だと思うから。