ひきつづきこちらの本をテキストに、イイトコのブランドDNAを考えていきます。
4回目となる今回から、後半戦です。
ではスタート!
7. 市場での位置付け
競合相手がひしめくなかで、自社が市場のどこに位置付けられるか、他社とどのように差別化できるかを探ります。
イイトコの場合の競合店は、事業のどこを切り口にするかでいろいろ変わってきます。
たとえばすぐに考えられるのは、「喫茶店」や「親子カフェ」で切り取る方法。
あとは、玩具や絵本が用意されていて、子どもと過ごせる場と捉えると、「子育てサロン」や「大型遊具の設置されているキッズカフェ」も。
母子分離でお母さんにほっとリラックスしてもらう要素もあるので、「子育て支援」で切り取ると、保健センターや保育園、一時預かりも入ってきそうです。
が、とりあえずシンプルにわかりやすく、「親子カフェ」で見ていくことにしました。
ウェブサイトからみて洗練されている雰囲気で、コンセプトがきちんと設定されていてファンも付いていそうな(すべて印象ですが......)都内の親子カフェを10店舗ほどピックアップ。
その店舗と、イイトコをポジショニングしていきました。
具体的な店名を出すのは憚られるので、ここでは私が設定した2つの軸だけご紹介します。
いくつか悩みましたが、最終的に私が「これだ」と設定した軸は、
ターゲットが「親子のみ←→多世代」
そして
お客様が「受動的←→能動的」
の2つ。
2つ目の、「お客様が受動的か能動的か」というのはイイトコのこだわりの一つでもあります。
受動的というのは、いわゆる「お客様然としている」こと。
お店が「もてなす側」で、対してお客様は「もてなされる側」。
お店が提供するものを、お客様は受け取るだけです。
普通の飲食店やお店の多くは、たぶんここに入ります。
ですがイイトコは、現行の物々交換からもわかるように、お客様も参加できるところがポイント、強みだと思っています。
イイトコには、いろいろな出会いがあります。
物々交換は、持ってくる人ともらってくれる人、参加する人がいないと回りません。
その場に居合わせたお客様同士で、情報交換が始まったりします。
お客様として利用してくれていた人が、講座を主宰する側になったりします。
「こんなことできないかな?」とお客様から提案を受けて、実現することもあります。
ここには、イイトコでは「お客様然」として過ごしてもらうより、主体的に、自分を出して、自分らしく、外と関わってもらいたい、関わると面白いよ、という思いがあるからです。
で、前述の2つの軸でのポジショニングですが、もちろんイイトコは、「多世代」寄りの「能動的」寄りです。
さあ、親子だけでなく、子育てを終えた人も、子育てがこれからの人も、もっと若い人も、子どもも、男性も女性も、となると、イイトコのターゲットは一体どうなってしまうのでしょう。
このあたり、お店の内装や食器選びに関係してくるのかどうか......。
じっくり考えてみる必要がありそうです。
8. ブランド・プロミス(約束) 「消費者や社会はこのブランドに何を期待できるか?」
「ブランド・プロミスは、企業やブランドがどんな価値や体験を消費者や社会に提供できるか、ということを宣言したもの」
「企業から消費者や社会への約束で、この約束を常に守り続け、発言と行動に矛盾なく宣言を実行することで、消費者や社会の信頼を獲得していきます」
(テキスト本より)
イイトコが、ブランドとして約束して継続的に守っていく必要があるもの。
一方にイイトコのビジョンがあります。
子育て中の人が、たくさんの人の手を借りながら、自分らしく子育てを楽しめること。
子育て中の人もそうでない人も、地域に暮らすすべての人が、多様な価値観のなかで育ち会える社会を作ること。
誰もが自分自身の人生を生きられるお手伝いをすること。
一方に、お客様や社会がイイトコに求めるものがあります。
おいしいものを食べたい
大人と話したい
子育ての大変さを癒されたい
リラックス、解放されたい
そう望むお客様に対して、イイトコがお約束できるものとは......と考えて、私はこう結論しました。
|イイトコの約束|
私たちは、子育て中のすべての人の心と体に寄り添い、力を与えられる存在であり続けます。
私たちは、作り手を大切にし、社会との繋がりを実感できる場を提供します。
私たちは、子どもたちのつくる未来を応援し、持続可能な社会を築くために、今できることを実践します。
うー、またまた大それた約束を掲げてしまいましたよ。
でも、理想は高くていいんです!
高い高い高ーい理想に向かって、自分自身を磨いていく努力を続けることこそが大切なのですから(キリッ)。
9. ブランド構造
この項では、自社の構造を整理するだけでいいみたいです。
なんだかほっとしますね。
事実だけに基づいているワーク。
「価値」とか「ビジョン」とか「約束」とかいうと、脳味噌のふだん使わない場所に汗をかきそうな作業ですが、事実だけに基づいて、淡々と図に起こしていけばいいという安堵感。
イイトコの事業構造については、こんなふうにまとめました。
10. ブランド・エクスペリエンス(体験) 「このブランドではどんな体験ができるか」
このブランドで、お客様が実際にどんな体験ができるのか考えます。
その体験は、これまで構築してきたブランドDNAの一部でなければならない。
ブランドDNAと矛盾なく、一貫した世界観の一部としての体験でなければならない。
消費者もブランドも共に価値をつくり出していけるかが重要、と本にはあります。
それらを踏まえて、作ってみました。
ちなみに、主語を「あなたは」で揃えると臨場感のある感じがしたので、それでまとめてみました。
あなたはセンスが感じられる空間で、生産者が丹念に育てた美味しく安全な食材から生み出された料理を味わうことができる。
冷たい飲み物に添えられたストローはサトウキビから作られており、あなたに使われたあとは回収されて畑に還る。ここでは、持続可能な社会を築くために皆がどういう行動を取るべきかが考え抜かれている。
そこでは誰も、あなたの子育てに対して咎める人はいない。あなたは日々のがんばりを認められる。あなたは一人の人間として大切に扱われ、尊重される。
そこでは多様な価値観をもつ人々によって毎日のように面白いことが起きていて、あなたは自分の世界を広げてくれるような出来事に出会うことができる。
......なんだか酔いそう。
すごいなイイトコ。
めくるめく体験が待っていそうだ。
最終回「ブランディングについて考えた⑤」へつづきます。
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